最先端のAR技術を駆使したモバイルアプリケーションのバックエンドに「KDDIクラウドプラットフォームサービス mBaaS by Kii」を導入した理由とは

2016/08/24

カテゴリー:ビジネスお役立ち

株式会社リビングスタイル様は、インテリア販売店のコンシューマ向けに、自宅でインテリアレイアウトをシミュレーションできるモバイルアプリケーションを開発されました。ARを利用し、スマートフォンのタッチ操作だけで家具選びと配置が3D画像で楽しめるこのサービスのバックエンドには、KDDIクラウドプラットフォームサービス(以下 KCPS)mBaaS by Kiiが活用されています。今回は同社にお邪魔し、コンセプトやmBaaS導入効果などについて代表取締役 井上様と取締役/CTO 園田様にお話しを伺いました。

井上 俊宏 氏
  • 代表取締役
  • 井上 俊宏 氏
園田 一磨 氏
  • CTO
  • 園田 一磨 氏

御社の事業を簡単に教えてください。

井上様:2007年の創業時から、3Dモデリングのノウハウを生かしたインテリアの販売店店頭用レイアウトシミュレータを開発、ASPとして提供しています。3Dシステム開発の一方、商品の3Dデータ作成も重要な任務です。1点1点モデリングした3Dデータは今では約60万点。現在は20のインテリアブランドでお使いいただいています。

その店頭用シミュレータはどのように利用されていますか?

園田様:その場に展示していない商品でも、お客様は手元のタブレットで3Dモデルを呼び出して確認できます。ご自宅の間取り図をご持参いただくと、その場でお部屋の3Dモデリングを行った上で3D家具を配置し、設置イメージを立体的にご覧いただけます。間取り図に家具の絵をはめ込むような2Dシミュレーションでは往々にしてお部屋が狭くなるように見えますが、3Dでお見せするとより正確なサイズ感や美観をご理解いただけます。

《図》Web 3Dインテリアレイアウトシミュレータの画面例
《図》Web 3Dインテリアレイアウトシミュレータの画面例

井上様:カラーバリエーションやカバーのテクスチャなどを変化させながらお試しができるので、お客様に好評です。またお店側ではお部屋と家具にマッチするラグや椅子なども配置してみてお薦めできるので、お客様単価が上がります。また、インテリアは何度も下見を繰り返してから購入に至ります。ご購入決断まで平均して4回くらいご来店されるお客様が多いのですが、このシミュレーションをご経験されると、購入までのご来店回数が平均2回に短縮されるという、リードタイム短縮効果も出ています。

今回、お客様ご自身が、自宅で家具レイアウトのシミュレーションができるアプリを開発されたということですが、これはどのようなものですか?

井上様:店頭システムでご検討されるのはほとんど新築やお住み替えのお客様です。それ以外のお客様はすでに他の家具が配置されたお部屋に新しい家具を入れたいとお考えです。その方々を対象にした、お客様自身が使えるシミュレータが必要と考えました。お客様はPCのWebブラウザよりも簡単に使えるモバイルアプリを好まれる傾向があることはわかっていたので、iOSまたはAndroidを搭載するスマートフォンやタブレット向けのアプリとサービスを開発することにしました。エンドユーザはインテリアご購入を考えている一般のお客様、アプリやサービスをご提供されるのはインテリア販売会社様、その背後のクラウドで私どもが独自システムと3Dデータでインテリア販売会社様のサービスを運用するという、B to B to Cサービスになっています。

園田様:スマートデバイスにダウンロードした専用アプリでご自宅フロアを撮影すると、その撮影角度と現実のサイズに合わせて、データベースにある3D家具データを読み込み、回転・移動・色やテクスチャ変更などを行いながら配置できます。お客様のお部屋は現実のもの、そこに配置する家具は仮想の3Dデータです。これはAR(拡張現実:Augmented Reality)を利用した新サービスになりますね。指先で家具の回転や移動が簡単に、直感的にできるスマートデバイスは、レイアウトシミュレータには好適です。

《図》AR利用のインテリアレイアウトシミュレータの利用例
《図》Web 3Dインテリアレイアウトシミュレータの画面例 《図》Web 3Dインテリアレイアウトシミュレータの画面例

ポイントの1つは、お客様ご自身が設置場所などのサイズを測ったり入力したりする必要がないことです。そのために「ARマーカー」という、一種の標識を用意しました。これを家具を設置したいところの床に置いてお部屋を撮影すると、ARマーカーを基準にアプリが床面とお部屋の広さを判断し、実物大相当のスケーリングを行って3D家具画像を表示します。配置した家具画像は、メニューで色やカバーなどのテクスチャを選ぶと自在に変更でき、回転や移動も、直感的なタッチ操作で行えます。なお、ARマーカーなしでも家具配置は可能です。

井上様:このサービスとアプリを株式会社島忠さまにご提案したところ、早速ご採用いただきました。現在、アプリは島忠様向けにカスタマイズし、「シマホAR」と名付けてiOSとAndroid各アプリストアから無料でダウンロードしてご利用いただけるようになっています。家具をレイアウトした画像はそのまま保存でき、それを販売店で見せれば該当する商品をその場ですぐに注文することができます。

ARマーカー(島忠様Webサイトからダウンロード、または店頭で配布)
ARマーカー

mBaaS by Kiiを、どのようにお使いでしょうか。

園田様:アプリ機能の方は開発プラットフォームのUnityと、Unityに対応するmBaaS by KiiのSDKを利用して開発しました。3D家具データは、当社内のサーバにファイルベースのデータベースとして保管しているものを利用します。通信環境とmBaaS機能がパッケージされたmBaaS by Kiiは、アプリのバックエンド機能を担当します。mBaaS by Kiiのサーバは、基本的には商品データベースとして機能しています。
 端末でメニュー選択された商品は、まずmBaaS by Kii が管理する商品データベースと照合され、必要な3Dデータやテクスチャなどのデータを当社の3D家具データベースから呼び出し、端末へと配信します。mBaaS by Kii は物理的にはKCPS内にあります。

《図》

 AR機能を含めほとんどの処理は端末側のプログラムで実行されますから、一度3Dデータを読み込んだ後は非常にキビキビと動作します。3Dデータ読み込みに要する時間は長くても数秒です。

mBaaS by Kiiを選ばれた理由をお聞かせください。

井上様:そもそもmBaaSを使わない開発は最初から考えていませんでした。実は当社ではもともとmBaaSを利用した開発経験があり、そのサービスが終了することになり、他のmBaaSへの切り替えが急がれました。ちょうど同じ頃、私どものサービスを中国でも展開しようという計画が持ち上がっていました。

園田様:中国にはグレートファイアウォール※1と呼ばれる独特の規制があり、中国国外のクラウドサービスは利用できないことが多いのです。また仮に国外のサーバが利用できるとしても、レイテンシ※2の問題があります。ところが、mBaaS by Kii であれば、中国国内のサーバを利用できるKii Cloudと互換性があり、いざ中国国内でサービスを提供する際にアプリをそのまま持っていけるところが他のmBaaSと違っていました。中国国内のサーバが利用できるところが最大の選択理由ですね。

井上様:中国でのビジネス展開は中国の協力会社との間で現在のところフィージビリティスタディの段階ですが、デモアプリを使ってお客様先にデモをご覧いただくなど、実際にサービスの一部は稼働しています。

mBaaS by Kiiを利用されたご感想をお聞かせください。

園田様:開発者コミュニティがしっかりと機能していて、開発の助けになりましたね。ドキュメントも揃っていたのがありがたかったです。

井上様:オープンソース製品でも似たようなことはできるんです。しかしセキュリティ面には不安がありますし、製品のアップデート時には手間がかかります。またデータベース運用、バックアップシステム、ログ管理法など、細かい運用管理プロセスを確立するには大変な労力が必要になるはずです。mBaaS by Kiiを利用すればそういうところはサービスにお任せでき、ほとんど考慮せずに済みます。開発工期でおよそ2〜3か月、投資金額にして数百万円の違いは出てきますね。

園田様:今回のサービスはご利用になるのが一般の方ということで、UI/UXはB to Bシステムよりもずっと重要になります。その部分に開発リソースを集中できることが重要です。BtoBであれば、マニュアルを用意したり従業員の研修の機会を設けることもできますし、ビジネスにつながるのであれば多少の使い勝手の悪さは問題にならないのですが、BtoCではそうはいきません。使い勝手が悪ければそもそも使ってもらえないからです。その点、サーバ側開発に労力がかからず、UI/UXに集中できたことはメリットでした。

最後に、今後のサービス展開などご計画をお聞かせください。

井上様:現在のARサービスについては、コンシューマ向けのUI/UXをより使いやすく改善していくことが課題だと考えています。今後の展開としては、ARやVR(仮想現実)を利用した新サービスを考えています。例えば、安価なヘッドマウントディスプレイを利用したスマートフォンのVRアプリ、マイクロソフトのHoloLensやGoogleのTangoなどの新しい3Dデバイスと技術を使ったサービスにも挑戦したいと思っています。
 お客様との間で作り上げた3Dデータには、活用の仕方でいくらでもビジネスを拡大していける可能性があります。今後も、サービスのエコシステムを含めた新ビジネス提案を積極的に行っていきたいと考えています。

ありがとうございました。

※1 グレートファイアウォール
中国の国家的な施策として行われている、インターネットアクセスを規制するシステム

※2レイテンシ
サーバ等に対してデータ転送などを要求してからその結果が返送されるまでの遅延時間のこと。サーバへの物理的な距離が大きく影響する。


mBaaS by Kii導入効果サマリ

  • ・スマートフォン向けアプリ開発期間約3カ月短縮
  • ・サーバ導入および運用管理コスト数百万円の削減
  • ・開発リソースをフロントエンドに集中することによるUI/UX品質の向上
  • ・中国国内でのサービス展開へ向けた共通開発基盤の構築

取材先プロフィール

株式会社リビングスタイル
インテリアのレイアウトシミュレーションサービス・プロバイダ。インテリア店の店頭でタブレットを用いたインテリアシミュレータにより、簡単でエンターテインメント性の高いインテリアコーディネーション機能を提供。家具の3Dモデリングも手がけ、現在までに20ブランド60万商品の3Dデータを作成済み。このたびインテリア販売会社のB to Cサービスに利用できるスマートフォン用AR(拡張現実)インテリアシミュレーションサービスおよびアプリを開発、提供を始めた。

  • 創業:2007年10月
  • 資本金:1億0823万5000円
  • 代表者:代表取締役 井上 俊宏
  • 事業内容:住宅等の間取り・配置シミュレータサイトの企画・運営、住宅等の間取り・配置シミュレータの開発、家具等インテリアに関するデータベースの運営、住宅・インテリア等に関するインターネットを利用した情報提供
  • 連絡先:〒162-0801 東京都新宿区山吹町333 江戸川橋アクセス9F 電話050-3821-2705
  • https://www.livingstyle.co.jp/
Kii Cloud

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