イベントレポート 「Kiiコンソーシアム第2回総会」

2015/12/28

カテゴリー:イベントレポート

2015年12月16日、東京・渋谷のヒカリエにてKiiコンソーシアムの第2回総会が開催されました。晴天に恵まれたうえに冬らしからぬ暖かさも幸いしてか、約60名もの会員企業の皆様が集い、それぞれに情報交換しながら親交を深めることができました。総会は、3人のスピーカーの方々によるご講演のあと、Kiiからのお知らせなどを聞いていただきつつ、懇親会へと移行しました。当日の様子をご紹介致します。


事例紹介1

「釣りの日」アプリのご紹介【コガソフトウェア株式会社 野田智也氏】

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最初に登壇したのはコガソフトウェアの野田智也氏。「釣りの日! 大漁時刻表」という釣り人専用SNSアプリを開発されました。利用者間のメッセージ交換にとどまらず、全国の釣りポイントの潮位や時刻をもとにして釣果を予想する「釣り予報」を有料で届けるところがこのアプリのポイント。全国236ポイントの予報データを集約し、釣り人が必要とする情報を個別に配信します。

mBaaSを使ったのはこれが初めてという野田氏ですが、開発期間は3ヶ月あまりだったとのこと。人手はマネージャー1人、プログラマ3人、デザイナ1人の合計5人、しかもみんな他の業務と兼任という開発体制でこの期間で完成したのですから凄腕です。難しかったのは大量のマスターデータとユーザーが登録するデータの共有だったそうですが、Bucketのオブジェクト数が多くならないようにしたり、データを期間ごとに別Bucketにしたりする工夫や、サーバーコードを使って非同期にSNSフィード登録するアイディアによって乗り切ったとのことでした。Kiiについては「日本語ガイドが充実している」「コミュニティページで疑問に対する答えがすぐ見つかる」「サポートへの問い合わせ回答が迅速」という嬉しい評価をいただきました。一方で、大量マスターデータの一括登録機能の改善や、サーバーコードのデバッグ機能の充実などに関するご要望もいただきました。こういったサービス改善のための貴重なご意見をいただけることもKiiコンソーシアムの良い点と考えております。今後の課題として取り組ませていただきます。


事例紹介2

Kii適用事例のご紹介【株式会社クレスコ 湯浅智行氏】

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続いては株式会社クレスコの湯浅智行氏から、Kiiを適用して開発したいくつかの事例をご紹介いただきました。

1つめは、ビーコン技術を利用した、レストランなどのフロアの離着席状況をリアルタイムにモニタするシステム(デモシステム)です。同社のビーコンプラットフォームクラウドサービス「BeaconBridge」とKiiとを組み合わせました。フロア設置のビーコンを利用して、Androidアプリから位置情報を発信すると、情報はKiiに格納され、フロア内の離着席状況が管理用デバイスにグラフィカルに表示されるようにしています。この設計開発はなんと1カ月で済んでしまったということです。

続いて2つめは、ウェアラブルデバイスを利用した健康管理システムです。ウェアラブルデバイスのバイタル計測情報だけでなく食事管理のための情報入力機能などを持たせ、トータルな健康管理ができるようにしています。そのバックエンドにKiiが採用されました。プライバシー情報を扱うだけに、データを専用領域に保管できることや、多種多様なオブジェクトが取り扱えること、サーバ拡張機能などが開発に貢献できたようです。またWebViewを使ってアプリ内にWebページを表示する代わりに、Kiiに静的Webコンテンツを収めればWebアプリケーションサーバの役割を担わせられるというアイディアも披露されました。他、サーバ拡張機能による情報共有ワークフロー(承認機能実装)やデータ移行が大事な役割を果たしたということでした。

さらに3つめは、アプリが介在せずに、デバイスの発信情報をユーザー自身や家族・医師などの関係者だけが確認するようにするシステムです。これにはKiiの特徴であるThingScopeでデバイスからの情報を管理し、情報公開先を限定するためにUserScopeやGroupScopeを活用するという手法が使われました。

他に「クレスコフェア」イベントで利用されたビーコン利用システムと、VR会議室のシステムについても、そのバックエンドでKiiを活用されたというお話もありました。

湯浅氏は「Kiiのいいところは野田さんご指摘のポイントと全く同じ」とされましたが、RDB技術に長年の経験を持たれているだけに、KiiのNoSQL DBの理解と使いこなしには苦労されたようです。特にKey名に長さの制限があることは想像がつかず、後で手間をかけることになってしまったとのこと。「データ設計を事前にきちんとすべき」と強調しておられました。また、Kiiの専用サーバ環境を利用すると、DB処理が高速化することを実証しておられました。データ移行のバッチ処理テストも優秀な成績だったようです。


活動紹介

AllSeen Alliance / AllJoynについて【クアルコムジャパン株式会社 内田信行氏】

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続いてクアルコムジャパンの内田信行氏がご登壇、IoTの中でも家庭環境内の機器間メッシュネットワーク(プロキシマルネットワーク)のフレームワークである「AllJoyn」と、その推進を図るオープンソースプロジェクトAllSeen Allianceについて熱く語っていただきました。

AllJoynはIoTベンダがこぞって注目しているフレームワークです。トランスポート層以下とアプリケーションの間に入るミドルウェア(基本ライブラリとサービスフレームワークが一体となったソフトウェア)になっています。ネットワーク側の足回りはどんなプロトコルでもよく、WiFiであろうがBLE、PLCであろうが何でも使えます。Windows 10では標準で搭載されていますが、実際はスマートデバイスにも導入できる、OSさえも選ばないミドルウェアになっています。

このミドルウェアがあれば、家庭内で相互につながるデバイスは、自分がどのような機能を持っているかの情報を発信するだけで、家庭環境内のプロキシマルネットワークに参加して、他のデバイスと連携して仕事をすることができるようになります。例えば「自分は温度を計測できて、一定以上の温度になったらエアコンをONにするための信号を発信する機能がある」というような情報です。アプリケーションも、実際に稼働するデバイスがどこの社の何という製品であるかを意識せずに、データの取得や操作の実行などを行うことができます。AllJoynに対応しておけば、デバイスメーカーにとっても、アプリケーション開発側にとっても手間とコストが省けて好都合だというわけです。

Kiiとは、AllJoynゲートウェイを介して接続することになります。ゲートウェイエージェントはAllJoynにバンドルされており、多様なクラウドサービスに、セキュリティの心配なく接続することができます。これにより、AllJoynとmBaaSとの大きなシナジー効果が生まれそうです。

なお、AllJoynには「標準」と「シン(Thin)」の2種類のフレームワークがあります。例えばスマートプラグやLED照明など、あまりCPUやメモリにコストがかけられないデバイスは、自分自身が主体的にネットワークに接続するルータ機能などを持たずに済む「シン(Thin)」フレームワークを選べば、デバイスを低消費電力・コンパクトに設計できます。他のデバイスと通信したい場合は、近傍の「標準」フレームワークで動作する1つのデバイスに接続して、常にそのデバイス経由で他のデバイスと接続できます。

さらにAllJoynを推進するAllSeen Allianceについての説明がありました。日本でもKiiやバッファロー、ソニー、キヤノンなど多くの企業が参加しており、グローバルでは約200社が参加しています。参加すると企業規模のランクに応じた費用がかかりますが、参加しなくても自社製品にAllJoynを採用することは可能です。対応製品を販売する時は、認証を得るために若干の費用を出して、認証機関に適合性をテストしてもらう必要こそありますが、他に費用はかかりません。もちろんプロトタイプならまったくコストはかからないとのこと。内田氏のお話は、今後のITを牽引するIoTの世界への誘いにも聞こえました。参加者の皆さんも食い入るように聴かれていたように思います。



■新機能「Thing Interaction Framework」のご紹介

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Kiiからは最近発表した新機能「Thing Interaction Framework」を紹介させていただきました。これはIoT開発でよく使われる機能を3つのシナリオに落とし込み、専用SDKでアプリケーションにすぐに組み込めるようにしたものです。ステートの登録と取得、アクションとコマンドの実行、何らかのイベントをトリガーとしたコマンドの実行といった機能を揃えました。アプリとコマンドの実行機能を盛り込んだ当社エンジニア作の「ペットの見守りアプリ」も披露させていただきました。Webカメラでペットを見守りながら位置を検知、近寄ってはいけないところに近寄ったら音で驚かせたり、行儀のよい時はリモートでごほうびのおやつをあげたりするシステムになっています。

このご紹介の前から、会場にアルコールやソフトドリンク、軽食が用意され、参加者の皆さんには食べたり飲んだりしていただきながら、話をお聴きいただきました。

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さらに先ごろドバイで開催されたIoT World Forumに参加してきたKiiの鈴木尚志から、ドバイのスマートシティ化の現状についてのレポートをさせていただきました。ドバイは世界で唯一Uberでヘリコプターが呼べる都市であるといった豆知識や、タクシーやバスなどの経路・位置情報管理と空席状況などの情報提供の進歩、それを利用する人(が持つスマートフォン)による移動状況の追跡、駐車場の空き状況情報と料金の自動引き落としサービス、歩行者の有無に応じた街灯の光量の調整による省エネ、多国語対応の案内ロボット(会話に対応するのはディスプレイごしの担当スタッフ)など、驚くようなスマートシティぶりを紹介しました。

この話が終わる頃には会場各所で名刺と情報の交換が始まり、ドリンクなどで会話も滑らかになって会場が一気に賑やかになりました。会場は談論・歓談・談笑で盛り上がり、スムーズに懇親会へ。その後は有志で別会場で忘年会へとなだれこみ、いっそう親睦を深めることとなりました。

mBaaS適用の具体的な事例と、これから普及が進むAllJoynのあらましに触れた今回の総会は、参加の皆様にも印象深かったのではないかと思います。参加された皆様に、改めてお礼を申し上げます。また次にお会いできます機会を楽しみにしております。

Kiiコンソーシアム入会のお問い合わせは、 kc@kii.comあてにメールにてご連絡ください。

Kiiコンソーシアム公式ウェブサイト

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