Kiiコンソーシアム第4回総会が開催されました。

2016/07/15

カテゴリー:イベントレポート

Kiiコンソーシアムの第4回総会が、2016年6月23日(木)、東京・築地のリコージャパン株式会社浜離宮事業所のセミナールームをお借りして開催されました。蒸し暑さがつのる梅雨シーズンではありますが、前回とほぼ同様の50名を超す会員の皆様がお集まりいただきました。誠にありがとうございます。
今回は、1つ目のご講演の後、グループディスカッションをしていただこうという新しい趣向を盛り込みましたので、各テーブルの席割は偏りの無いよう、くじを引いていただきました。初めての方もちらほら見えましたが、そこは皆様、大変社交スキルに長けていらっしゃいます。始まる前からすでに談笑で盛り上がっているテーブルがいくつもありました。

  • 司会をお務めいただいたKDDI日比野様
  • 総会前の会場風景

総会は16時にスタート。今回はいつもと違い、ご講演はKDDIテクノロジー様によるクラウドサービスとmBaaSの関係や独自サービス開発事例についての1本のみ、残りの時間のほとんどで参加企業の皆様の「事業紹介」をご披露いただきました。そのかわりご講演後にはグループディスカッションを行う時間を設け、異なる会社の方々と共に議論して理解を深めていただきました。また「事業紹介」では会員企業から16社様にご賛同いただいて、会員企業同士の協力や連携のきっかけとなるような、各社の「強み」を語っていただきました。その後には質疑応答のコーナーを設け、最後にIoTサービスプロトタイプ開発に関する説明がありました。
ここまでほぼ2時間、限られた時間の中で中味の濃いご発表が相次ぎ、充実した総会となりました。とはいえ各社様の事業の詳細はまだまだ語り尽くせない部分も多く、その後の懇親会ではリラックスした空気の中で交流を深めつつ、コラボレーションの可能性を探る参加者の皆様が多かったようです。

■ご講演 KDDIテクノロジーとmBaaS by Kiiの取り組み

ご講演をいただいたのは、株式会社KDDIテクノロジーの開発4部に所属される嶋是一氏と伊藤良行氏です。同社はauスマートフォンの戦略アプリ開発やmBaaSを活用したソリューション提供、技術サポートなどの事業を展開されています。
最初に登壇された嶋氏は、NPO法人日本Androidの会理事長として、あるいはMCPCモバイルシステム技術検定委員としてご存知の方も多いでしょう。嶋氏はまずmBaaSの価値を「短期間・低コストでアプリ開発ができる」こととしながら、実は適応性はシステム構成に依存し、mBaaSで要望を達成できるかを見定めてから取り掛かることが成功の秘訣と、いきなり核心を突きました。

  • 嶋 是一 部長

mBaaSの価値を十分発揮出来るプラットフォームがKDDIにはあります。嶋氏は、IaaS、PaaS、DaaSが統合された「KDDIクラウドプラットフォームサービス(KCPS)」や「KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS2)」とKiiとの組み合わせによるシステム環境を活用し、独自サービスを次々に拡張されてきたことを強調されました。KDDI様はmBaaS機能もKCPSに容易に組み込めるよう、Kiiとの業務提携により「mBaaS by Kii」としてKii Cloudの機能をユーザー様向けにご提供されていらっしゃいます。
続いて、mBaaS適応による成功ケースとして、次の3事例のご紹介をいただきました。

【事例1】(B to B)KCPS管理コンソール

まずB2Bサービス事例として、スマートフォンをKCPSの管理コンソールとして利用するアプリが紹介されました。これはまだ開発段階の社内検証アプリですが、クラウド上のシステムの稼働状況がリアルタイムにモニタでき、障害発生などのイベントが生じたらスマートフォンにアラームがプッシュ配信される仕組みになっています。運用管理ツールとしてはMackerelをお使いとのことで、そのコンソールの内容がスマートフォンで利用可能になっています。驚いたのはアプリに「再起動」ボタンがあること。障害サーバーはいつでも手元で再起動できる時代なのですね。
このサービスでは、Kii Cloudがユーザー管理、データ管理、プッシュ通知に活用されており、KCPS側のMackerelからサーバー稼働情報を取得、CloudStackと連携して再起動が行える仕組みが構築されました。mBaaSを利用しない場合はここに専用サーバーを立てる必要があります。その部分のコストが削減でき、また拡張時にもKii Cloud側が柔軟に拡張可能なので安心とのことです。端末側開発のコストはmBaaS採用でもあまり変わりがなかったそうですが、サーバー側開発コストはだいぶ低減できたということです。
ただ残念だったのは、Kii CloudとMackerelが直接接続できず、外部に1台サーバーを介して接続せざるを得なかったことです。これは余計な運用管理負荷を増やします。このようなツールとの連携機能についても今後改善していくべきポイントと感じました。
嶋氏は、この事例を通して、mBaaSを活かすためには、運用サーバー数が少ない仕様調整が必要であることを挙げ、サーバー間連携仕様の最小化がポイントだとまとめました。

  • スマートフォンでのKCPS管理コンソールアプリの紹介

【事例2】(B2C)故障受付アプリ

代わって登壇した伊藤氏が紹介した次の事例は、auマーケットですでに23万ダウンロードを達成している「故障受付アプリ」です。これはauスマートフォンやケータイの「安心ケータイサポートプラス」という有料会員サービスを利用するためのアプリ。月額380円で、水濡れ故障・盗難・紛失などが起きたら、交換用携帯電話機が原則翌日に届いてすぐに自分のデバイスとして利用できるという、なんとも気前のいいサービスが、このアプリから利用できます。ユーザー満足度の高いこのサービス専用アプリですが、「トラブル診断」という機能があり、実際は修理するまでもないトラブルをユーザー側で解決してもらい、サポート負荷を軽減しようという狙いもあるそうです。
Kii Cloudは、OSを絞り込んで一斉通知するプッシュ通知や、アプリで利用する情報のリアルタイム取得や登録機能のために使われています。プッシュ通知機能はKii標準機能でほぼ実装が完了、データ取得・登録機能もKii標準APIで十分だったとのこと。もしKii Cloudを使わず自前でサーバーを構築すると、3〜4倍のコストが見込まれたそうで、Kii Cloudはコスト削減と、開発期間短縮に有効だったとのことでした。
一方、ご講演が苦労話に至ると、Server Codeの実行ステップ数制限(1000ステップ)や、オブジェクトサイズ制限(65kB)、GCMのレジストレーション管理の難しさといった課題も炙り出されました。使っていただいて初めていただける貴重なご意見、今後に活かさせていただきます。

  • 伊藤氏による「故障受付アプリ」事例紹介

【事例3】(B to C)期間限定イベントへの適応

3番目の事例は、「期間限定イベント」、つまり数日間といった短期間だけサービスを提供するケースについてご紹介いただきました。イベント運営者向けツール、イベント参加者向けツールのどちらの場合でも、年単位でのサービス継続が必要な場合は自前のサーバー選定・導入・運用が必要になることが多いのですが、短期間だけKii Cloudを利用すればハードウェアコストをかけずにサービスをスタートでき、運用・保守コストもほとんどかかりません。期間限定のサービスにKii Cloudの相性は抜群です。
とはいえ、他のクラウドサービスと同様に、Kii Cloudは利用している期間はずっとランニングコストがかかります。どのようなサービスをどれだけの期間提供するのか、前提となる条件を見極めることが重要だと嶋氏は結論付けました。

【今後の展望】

嶋氏は「今後も事例を増やして知見を蓄積していきたい」と述べ、特にWVS2を活用したイントラネットでのB to Eサービス展開にmBaaSの活用を図り、またKDDIサービスとmBaaSとの連携をさらに発展・拡張していきたいとの展望を示されました。さらに受託開発やコンサルティングの提供も行っておられることに触れて、ご講演を締めくくりました。

■パネルディスカッション

ご講演内容を受け、各テーブルでグループディスカッションが行われました。時間の都合上、十数分でのディスカッションとなりましたので、すでに顔なじみの方々が多いテーブルでは議論に花が咲く一方、自己紹介に多くの時間を費やしているテーブルも見受けられました。テーマを絞り込んでいなかったので深い議論にはなりにくく、ここは反省点かと思います。
ディスカッション終了後、数人の方が内容を発表されました。「IoTを活用したいが、マネタイズが難しくて一歩を踏み出せない」悩みや、「短期間のサービス提供での高負荷を避けるには?」など、皆様に共通する課題感が表明されました。どれも専門テーマでセミナーが開けそうなポイントです。時間がなく、丁寧な議論はできませんでしたが、いずれこうした課題感に答える企画も提供していきたいものです。

  • パネルディスカッション風景

■会員企業16社の事業紹介

続いて会員企業16社様による事業紹介が行われました。限られた時間の中で1社様あたり3分という制限時間を設けさせていただきましたが、皆様、非常に要領よく、持ち時間の中でしっかりと内容をまとめてお話しいただきました。以下に簡単に要約させていただきます。

(1) アップフロンティア株式会社様

2005年からモバイルアプリ開発に取り組み、約300本の開発実績をお持ちです。VR/AR技術やロボット技術(Pepper)も得意領域で、昨年の「Pepper App Challenge」でベストエンターテイメント賞を獲得した絵本読み聞かせアプリ「かたりべ」の開発元でもあり、一般家庭向けPepperアプリも販売しておられます。開発されたmBaaSライブラリのソフトウェアライブラリ(大日本印刷様)へのご登録など、mBaaSの普及にも大いにご貢献されています。

(2) 株式会社h2ワークス様

アプリ開発を中心に、閉域ネットワークを介したサービス構築、IoTデバイスからのメッセージゲートウェイ構築など実績豊富で、組込み機器のファームウェア開発なども手がけておられます。注目製品として、複数台の機器の充電を効率的に行う「スマート充電器 スマチャ」、スマホ画面で魚群探知ができる「浮き型ワイヤレス魚群探知機Sona.r Ball」のご紹介もいただきました。

(3) Kii株式会社

この機会に私どもの紹介もさせていただきました。Kii Cloudの3つの特徴(人やモノの相互連携、SDKによる短期開発、IoT機器の海外展開に有利な特徴)について簡単にご説明させていただきました。

(4) KDDI株式会社様

KDDI様はKiiと共同で国内初のイントラネット接続型mBaaSを構築、mBaaS by KiiとしてKCPSやWVS2と連携してそれぞれの価値を統合、IoTビジネスに必要なすべての要素をワンストップでご提供できることを強調されました。

(5) コガソフトウェア株式会社様

ヘルスケアとモビリティを活用した自社サービスを開発、ご提供されています。モバイルクロスプラットフォーム開発ツールのMonacaやCordovaに、Kii Cloudを連携したモバイルアプリ開発をなさっておられるとのこと。開発事例として、ヘルスケア関連の3アプリ(メディカルフィットネス、ゆがみチェッカー、ケアサポーター)と、公共交通サービスアプリ(孝行デマンドバス)を紹介されました。

(6) サイレックス・テクノロジー株式会社様

会員の中では少々異色なハードウェアメーカー。安定性が問われる産業用・公共系無線LANデバイスなどを主にご提供されておられます。mBaaSはただ今勉強中とおっしゃる一方、センサ情報や写真をスマートデバイス経由でクラウドに送信する、無線LANモジュールのサンプルを披露していただきました。コンソーシアムの皆様と共に、組込みモジュールを活用するアプリが作りたいとのことです。

(7) サイプレス セミコンダクタ株式会社様

IoTの鍵を握るセンサーデバイスやマイコンをはじめとする半導体メーカー。太陽電池を備えたバッテリーレス温度・湿度センサーとBLEモジュールを組み付けた最新の「BLEセンサーモジュール」をご披露いただきました。温湿度はBLEで送信され、スマートフォンでモニタできます。これを世界中で5000〜1万個といった数で提供し、モニタ機能を実証、取得データのビッグデータ解析でビジネスに結びつく結果を得たいとのことです。

(8) 株式会社システム計画研究所様

AIとIoTの組み合わせに強みをお持ちです。ディープラーニング(機械学習の手法の1つ)などの最新AI技術をベースにすると、IoTデバイス側に一定のインテリジェントな処理機能を持たせ、サーバー側でのビッグデータ処理量が減らせます。例えば顔認識でも、デバイスからサーバーに写真を送るのではなく、判別結果だけを送ることができます。非力なデバイスであっても複雑・大量のデータ処理システムを担えるというわけですね。

(9) セイコーソリューションズ株式会社様

デバイス開発とシステム開発を両面で推進しておられ、決済ソリューション、ネットワークソリューション、モバイルソリューションも豊富に提供されておられます。特にIoTデバイス、ゲートデバイスのSI、公衆無線系の技術に強みがあり、無線デバイスを利用した新サービスで協業できるパートナーを求めているとのことです。

(10) 株式会社セック様

リアルタイム技術を1970年代から追求してきた開発会社。ダムや電力制御などのリアルタイム性が求められるソフト開発に長年の実績があります。現在では人工衛星、ロケット、自動運転車両関連の開発、あるいはAI、機械学習、さらにロボットなどの領域では、ミドルウェアでソフトウェア機能安全を担保するSIも手がけているとのことです。

(11) 大日本印刷株式会社様

日本を代表する印刷会社ですが、IoT関連ではデバイス、ゲートウェイ、ネットワーク、アプリ、サービス、マーケティングなど、幅広い領域をカバーしておられます。最新のソーラー電池式BLEビーコンの発売もホットなニュースとして飛び出しました。IoTビジネスモデルの立案、構築など上位レイヤーにも強みがあります。

(12) 株式会社DNPデジタルコム様

Webホスティングを軸として、ゲームやスマートデバイスの開発、BPOなど幅広い事業を展開しておられます。アプリ事例としては、東京メトロの位置情報を使って道案内を行うサービスを開発されています。ちょうど同社とJTB様と共同企画であるアイディアソン「TRAVEL×IT CONTEST」(募集は7月20日まで)の開催時期となっており、その告知もしていただきました。

(13) 富士ソフト株式会社様

46年めを迎えるSIerとして有名な同社は、近年は受託開発以外にもコミュニケーションロボットの開発や、SIMフリーのUSBドングル、LTE対応のWiFiルータ、組み込みデバイスなどもご提供されている。また自動車、医療系のSI実績の豊富さ、海外クラウドサービスの取り扱いなどにも強みがあります。

(14) 三菱UFJリース株式会社様

「IoTビジネスを推進される企業様の縁の下の力持ちになりたい」というのが同社のコンソーシアムご参加の目的。金融機能と資産管理機能を、IoTビジネスを開拓される企業に対して提供します。IoTビジネスは商品売り切りではなくサービス継続が肝心、その時の入出金管理、資産管理など煩わしいことをお引き受けいただけるとのことです。また、約10万社との取引がある同社では、ビジネスマッチングによるビジネス構築サポートも行っていただけるとのことです。

(15) 株式会社ユニフィニティー様

同社はMADP(MEAP)ツール「Unifinity」を自社開発されました。昨年4月出荷開始したUnifinityはiOS/Android/Windowsのクロスプラットフォーム開発が可能、フロントエンド(端末側)開発を効率化します。すでに大手通信キャリア、大手運送会社などに導入実績があるそうです。プレゼンテーションソフト並みの簡単プログラミングレス手法で開発できるのが大きな特徴。mBaaSと併用してアプリ開発がラクになりそうです。

(16) 株式会社リコージャパン様

複写機メーカーとして超有名な同社、複写機は世界で230万台が保守ネットワークに接続されており、稼働状況をネットワーク経由でモニタし、例えば故障予知の上、サービスマンがお客様にご迷惑がかかる前に措置がとれるような優れたサポートシステムを運用しておられます。もちろんIoTデバイス、あるいはクラウド、サーバーについても同様の「オペレーション&メンテナンス」技術が適応可能とのことです。

ここまでで発表は終わりです。若干の質疑応答の後、最後は、IoTサービスのプロトタイプ作りのプロジェクト「IoTサービスデモ」の構築について、本プログラム推進の中心メンバーである大日本印刷の生田大介氏から構想が語られました。これは有志の活動にはなりますが、様々なバックグラウンドを持つ企業がコラボレーションして、実際に近いサービス開発を経験して知見を高め、協力関係も深めようという試みです。ご興味がおありの方は、是非ご参加をご検討ください。

  • 「IoTサービスデモ」プロジェクトのイメージ

いつもにも増して盛りだくさんの内容となった今回の総会でしたが、得意分野を異にするたくさんの専門家の方々が一堂に会していることを実感することができました。この潜在力をIoTやクラウド、モバイル関連のビジネス推進力に変換するために、コンソーシアムが何ができるか、引き続き知恵を絞りたいと思います。
(終わり)

Kii Cloud

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