Kiiコンソーシアム第3回総会が開催されました。

2016/03/08

カテゴリー:イベントレポート

Kiiコンソーシアムの第3回総会が、2016年2月18日(木)、東京・市ヶ谷のコミュニケーションプラザ ドットDNPの2Fイベントスペースにて開催されました。大日本印刷株式会社(DNP)のこの施設は、美術展が開けそうなゆったりした空間で、イベントスペースはまるで街中のカフェのようです。そこに詰めかけた会員の皆様は50名ほど。もう顔なじみの方も多いらしく、開始前からテーブルごとに和気あいあいとした談笑が聞かれました。 

写真 総会前の会場風景

16時から始まった総会では、アップフロンティア株式会社のVRやPepperに関する事例紹介、リコージャパン株式会社のIoT事例紹介の後、株式会社ウェブレッジ、株式会社システム計画研究所のライトニングトークと進み、Kiiによる会員間コミュニケーションアプリの紹介を挟んで、大日本印刷株式会社から開発ツールの紹介が行われました。興味深いお話が相次ぎ、ここまでで予定時間が終了。予定していた「Parse社のサービス停止」や「共同案件受注」に関しては、懇親会で自由にお話ししていただくことになりました。

では当日ご登壇いただいた方々のご講演内容を以下に要約いたします。

■事例紹介 VR/ARへの取り組みとPepper(ロボット)用アプリ開発

【アップフロンティア株式会社 横山隆之氏】

最初に登壇されたアップフロンティア株式会社の横山隆之氏からは、まずVR/ARの市場変化と同社の取り組みについてご説明がありました。社員全員参加で「スマホの次のデバイス」探しと対応を最大の目的としているという「超技研」プロジェクトでも話題の同社ですが、メインの事業はスマホアプリとサーバー側開発です。数百本のアプリ開発に加えWebサイト制作やソーシャルサービス運用なども手がけてきましたが、次の市場として注目しているのはVR/AR市場。横山氏は、(1)高い没入感を生み出すOculusなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が登場している、(2)コンテンツ制作の敷居がUnity、Unreal Engineなどのツールにより低くなっている、(3)各種関連ハードウェアの高性能化が進んでいる...という3点を挙げ、今年の同市場の熱さを強調しました。特に米国ではfacebookのOculus買収やGoogleのCardboardによるスマホアプリベースのVRコンテンツの増加などで活況を呈しており、VR投資は若干バブル気味とのこと。

一方日本ではソニーのプレイステーションVRの発売が今年予定されており、ゲーム関係のVRアプリが続々登場することになりそうです。しかし高価な製品なのでコンシューマ市場の立ち上がりは少々先になる見込みで、むしろB2B向け市場が活性化しそうです。設計分野に適用した例として、3D CADの空間に設計者自身が入り込んでレビューする感覚で使えるHDMシステム「prono DR」(同社開発)が紹介されました。

  • 講演する横山隆之氏
  • VR技術で3D CADの空間に没入(ビデオ映像)

その一方、Cardboardで体験できる「バーチャル膝枕」や、スマホで写した相手の口から飛び出す爆弾で「うに」を撃退するAR利用ゲーム「ユニティちゃん うにバスター」開発の紹介で場を和ませつつ、同社の開発力を紹介されました。

  • 「バーチャル膝枕」(ビデオ映像)
  • 「ユニティちゃん うにバスター」(ビデオ映像)

またもう1つの注力分野としてソフトバンクの人間型ロボット「Pepper」アプリについてもご紹介をいただきました。昨年のコンペティション「Pepper App Challenge」でベストエンターテイメント賞を獲得した絵本読み聞かせアプリ「かたりべ」のバックエンドにはKiiが使われているそうです。iOSやAndroidデバイスとPepper間をWebsocketで接続し、制御しており、ユーザーのアクセス権管理とデータストアをKii側で受け持つ仕組みだそうで、特に仮ユーザーの概念・権限が利用できるところが便利だったとのことです。

ただ開発のイニシャルコストがネックになり、アプリ開発会社は苦労しているとのお話も聞かれました。VR/ARデバイス、あるいは家庭用・オフィス用のロボットは今後ますます増えていきます。KiiのThing-IF SDKなどにより、開発会社の方のアイディアが労せずに実現できるように、IoTクラウドプラットフォーム事業者としてますます進化していかなくてはと思った次第です。

■事例紹介 IoTを活用した太陽光発電リモートサービスなどの事業

【リコージャパン株式会社 山形起生氏】

次にご登壇いただいたのは、今年創立80周年になるリコーグループでソリューションサービスを提供しておられる、リコージャパン株式会社の山形起生氏です。複写機などOA製品やIT機器のイメージが強い同社ですが、実は太陽光発電のオペレーションとメインテナンス、電力小売などエネルギー分野での取り組みも行っておられます。そんな新事業領域を切り開いているのが一昨年4月に設立された、山形氏の所属される「スマート&エネルギー事業部」です。

同事業部では全国400以上の拠点に正社員約4400名を配置し、センター業務やフィールドサービスを決め細かく行っています。近年は特に電気自動車の充電設備の設置やオンサイト保守のために電気工事の専門資格を取得する社員(現在約420名)も増えているそうです。こうした企業紹介の後、IoT関連の事例をご紹介いただきました。

まず、複写機・複合機の監視サービス「@Remote」を始め、ネットワーク機器やサーバーの監視サービスについてご解説いただきました。現在、全国でリモート監視を行っているそうです。24時間365日体制で死活監視やリソース監視を行うほか、複合機等の故障自動通報、カウンターの自動検診、トナーエンド自動通報などがリコー側に迅速に届く仕組みです。カスタマーエンジニアはお客様からのサポート要請の前に交換用部品や消耗品などの準備を整えてお客様オフィスに向かいますから、故障時でも復旧が速やかです。またファームウェアバージョン更新の際も、お客様機器のバージョンを取り違えることなく確実な適用が行えます。事前に何の情報も得ていない場合に比べ、情報の行き違いや作業の手戻りがなくなり、同社内のコスト削減効果は100億円以上とのことです。

講演する山形起生氏とプレゼンテーション資料(一部)

続いて、太陽光発電のオペレーション&メインテナンスサービスについてもご説明がありました。太陽光発電も24時間365日の常時監視体制が敷かれ、アラート監視、発電量モニタリング、定期レポートなど共に障害対応や定期点検、代行訪問などが行われているそうです。加えて、カメラによる設備のモニタリングの必要性や、必要に応じた除草や清掃をしないと性能に影響すること(どちらもサービスメニューにあり)、災害による発電設備の水没などの被害時には、水の中でも400〜600Vの発電が行われることがあって感電の危険があることなど、あまり知られていない実態も語られ、参加者の皆さんも興味津々で聴いておられました。

また家庭やオフィスでのエネルギーマネジメントのためのスマートメーターに関しても触れられました。建物の電力消費状況は配電盤外部に設置したパルス検知装置で計測され、3G通信でデータが5分に1回センターに送信されてリアルタイムに把握可能になります。ピーク時の電力がもし契約上限を超えると、契約基本料金が上方修正され、その後約1年そのまま固定されるという、ちょっとドッキリする情報もいただき、改めて電力節約に励まなければと思いました。IoTは余計な電力消費抑制にもつながりますね。

同社では、今後もIoT推進に力を入れ、迅速なサポートは無論のこと、故障等の予兆管理と予防も含めた保守サービスにも取り組んでいくとのことでした。

■ライトニングトーク 1500台以上のスマホを揃えた第三者検証サービス

【株式会社ウェブレッジ 中村晋太郎氏】

続いて、最近コンソーシアムに参加された株式会社ウェブレッジの中村晋太郎氏から、同社事業のご紹介をいただきした。同社は福島と東京にラボを構え、スマホ1500台以上をはじめとする豊富なテスト環境を備える第三者検証・品質保証の専門会社です。製造、IoT、Web、エンタープライズ情報システム、EC分野と幅広い検証実績があります。

中村氏は特にソフトウェア開発プロセスの各フェーズに利用できるソリューションを取り揃えていることを強調しておられました。従業員の85%がテスト技術者であり、ソフトウェアテスト各団体が提供しているミドルクラスレベルの専門家集団であり、検証実績は5000プロジェクト以上、バグナレッジは10万件以上などと、具体的な数値を示しながら、テスト自動化ツールなどを効果的に利用する以外に、ユースケースに基づいたノウハウで品質改善のPDCAを高度化することが重要だとの主旨のお話しをいただきました。

講演する中村晋太郎氏とプレゼンテーション資料(一部)

■ライトニンングトーク ディープラーニング技術で可能になるエッジコンピューティング

【株式会社システム計画研究所 稲荷和典氏】

続いてライトニングトークを行っていただいたのは、技術系分野専業でソフトウェア開発に携わっておられる株式会社システム計画研究所(略称ISP。以下ISPと表記)の稲荷和典氏です。

IoTとAIの周辺はいま一番ホットな領域ですが、中でもディープラーニングと呼ばれる機械学習技術に注目が集まっています。その理由を示す一例として、稲荷氏はILSVRC(コンピュータによる物体認識精度を競う国際コンテスト/ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)で驚異的な精度向上を果たしたチームがディープラーニングを採用していたことを挙げました。その後は画像の自動分類に関してはディープラーニングを利用する研究が主流になり、同コンテストでは上位が常にディープラーニングを採用しています。現在では認識エラー率は4%以下にまで低下しているとのことです。一般の人間では同じ誤認識が5%程度と言われるので、もはやAIの画像判別能力はほぼ人間並み?ということになるそうです。

ディープラーニングは、従来からのニューラルネットによる学習手法をさらに複雑化させたもので、GPUの計算能力を学習に利用できるようになってやっと実用化した新しい最適化手法。しかし演算パワーを使うのは学習の時だけで、学習結果は例えばフィールドのカメラやセンサーなどの機器に組み込めます。するとカメラやセンサーでは外部から受け取る情報を自動判別して異常な場合のみデータを送信するというように、現場からのデータ量を軽減することができます。大量のデバイスが分散するIoTでは、このような「エッジコンピューティング」が重要になると稲荷氏は述べます。

さらに同社のAI関連の取り組みとして、宇都宮大学や佐賀大学と共同で自律走行車やドローンの研究を進めていること、病院との共同で眼底写真における微小出血個所を自動判別する研究などを進めていることが紹介されました。またISPの画像処理技術として、クロマキー合成技術、映像の美肌化技術などについても触れられました。画像・動画の自動解析のくだりなどは、まさにIoTとAIの未来像を見るようでした。

講演する稲荷和典氏とプレゼンテーション資料(一部)

ライトニングトークの後、Kiiより会員のプロフィール紹介を主眼としたアプリ開発の紹介を簡単に行わせていただきました。Kiiを利用して1日で作成したアプリなのですが、会員相互の理解促進のお役に立つのではないかと思います。GitHubに登録してありますので、ご確認いただければ幸いです。

■サンプルライブラリの紹介 O2O系のイベント発生をトリガーにコンテンツを自動取得・表示

【大日本印刷株式会社 生田大介氏】

本日の大トリを務めていただいたのは、大日本印刷株式会社の生田大介氏です。Kiiの利用を前提にしたサンプルライブラリ「DKiiMacaroni」を作成していただきました。これは、O2Oマーケティングを意識したライブラリになっていて、スマートデバイスが検知したBLE(ビーコンなど)、ジオフェンス、Wi-Fi、 QRコード読み込み、時刻、プッシュ通知等のイベントをトリガーにして、CMSシステムに登録したコンテンツを取得して表示する機能を備えています。スケジュールに従ったプッシュ配信も可能です。このライブラリの制作にはアップフロンティア株式会社も協力しておられるとのことです。こちらもGitHubにご登録いただいていますので、是非ご確認の上、ご試用いただければと思います。

なお、Thingsを利用した面白アプリのご紹介もしていただきました。シャンプーのボトルのポンプをプッシュすると、クラウドに信号が上がり、残量を表示するメーターが下がるというアプリも紹介されました。ポンプ部分に磁力センサーがついている現物のボトルのプッシュとメーター画面の同期が披露されました。Kiiを利用して何ができるか、楽しんで試していただいている姿を見て、大変嬉しく思いました。

講演する生田大介氏とプレゼンテーション資料(一部)、シャンプーボトルを利用した試作品のデモ

ここまでで、残念ながら終了予定時間となってしまいました。残りの議題は懇親会の中で、ということで、隣のスペースに用意してある軽食と飲み物を囲み、IoTやスマートデバイス、そしてKiiコンソーシアムの未来に乾杯。いつものように、新しい出会いと刺激がもらえる語らいの場へと移行しました。

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