イベントレポート:IoT World Conference 2015「誰もが家電のリソースにアクセス可能になる事で、スマートフォンアプリのような生態系が生まれる」

2015/08/04

カテゴリー:イベントレポート

2015年7月31日、「IoT World Conference」 が開催され、その基調講演として行われたパネルディスカッション、「オープンソースで作るリアルIoT市場All Seen Alliance の意義」に弊社CEO、荒井がパネリストとして登壇させて頂きました。モデレーターはThe Linux Foundation/AllSeen Alliance日本担当ディレクターの福安 徳明氏、パネリストには荒井の他、クアルコムジャパンの内田信行氏、ルネサスエレクトロニクスの中島幸一氏が登壇されました。当日は250人もの人が会場に詰め掛け、熱気あふれる大盛況でした。交わされた議論の中身をご紹介いたします。

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まずモデレータの福安氏より、AllSeenAlianceの意義と、その根幹たるソフトウエア「AllJoyn」について解説がありました。

「IoTでいろんなデバイス同士がつながる、というのが皆さんの抱いているイメージではないかと思います。そういった中でいまのIoTがどういう状況かと言うと、例えば電球は電球会社のクラウド、家電は家電会社のクラウドがあって、お互いに話をしない、という状況になっています。AllSeen はこの状況に一石を投じるために作られました。別の言葉を話していたデバイス同士が、同じ言葉でお互いに話せるようになると、それまでになかった価値が出てきます。AllJoyn はそのための共通言語で、すでに世界中で180を超える企業が集まっており、日本ではパナソニック、ソニー、シャープ、ルネサス、Kiiなどが入っています。」(福安氏)

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続いて内田氏から、AllJoynについての技術的な解説があり、それについて他のパネラーからもコメントがありました。

「AllJoynは一言でいえばAllSeenをつくるためのソフトウエアフレームワークであり、ミドルウエアです。基本ライブラリとサービスフレームワークに分かれており、基本ライブラリにはどのIoTサービスでも使うであろう機能、discovery, security, connectionなどの機能が用意されています。サービスフレームワークでは追加の機能、例えば照明のためのライティングのコントロールの機能などがAPIで定義されています。これらをイチからつくるのは大変で、使って頂ければTime to Marketを短くできる、というのがメリットです。」(内田氏)

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「普通、標準化団体ではスペックだけ決めて、実装はそれぞれの社がやるからいざやってみると繋がらないという事も多いですが、AllJoynはソースコードそのものがスペックなので非常にインターオペラビリティ(相互接続性)が高いのが特徴です。」(荒井)

「Tread やZigbeeと違う点ですが、AllJoynはトランスポート層の上にあるミドルウエアであって、伝送路技術には依存しません。Threadに限らず伝送路の技術は何でもいいし、OSについてもほとんど全て対応可能です。」(内田氏)

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クアルコムジャパン株式会社 標準化グループ Director, Engineering 内田 信行氏

この他、「Thread はアプリケーションになりたく無い、AllJoynはトランスポート層になりたく無いということで、補完関係にあるので上手くいく」という意見があり、続いてIoT時代のビジネスの特徴や、AllJoynを用いた開発の優位性についての議論がありました。

「AllSeenは決してクアルコムさんが主導して立ち上げているわけではなく、別のチップでも大丈夫です。プラットフォームというと企業色の強いものが多く、そういったところだとその企業の戦略に巻き込まれている感がありますが、AllSeenはそんなことはなく、そこに価値を感じて入っています。」(中島氏)

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ルネサスエレクトロニクス株式会社 第二ソリューション事業本部 IoT事業推進室室長 中島 幸一氏(左)
Kii株式会社 CEO 荒井 真成(右)

「今デバイスメーカーさんたちの悩みになっているのは、デバイスの中にWiFiを入れて、AllJoynを入れて、コストをかけて作ってもそれで高く売れるわけではないということです。メーカーさんにとって何が大きく変わるかといえば、せっかくネットに繋がったので月額で課金できる、100円でもいいから課金をして100万人になれば月間1億円になる、ということです。」(荒井)

「だけれども一つ一つのデバイスでそれをやってしまってはエンドユーザーにとって非常に使いづらいものになる。スマートフォンの中にいくつもアプリがあって、それぞれで個別の機器を操作する、となるとせっかくの可能性を潰す結果になります。デバイス同士が話せるようになり、さらにはゲートウェイ機器を介してクラウドにつながるようになれば、いろんな事が可能になります。例えばセンサーひとつトイレにつけるだけでも見守りはできるし、デバイス間はAllJoynでつなぎ、ゲートウェイでクラウドプラットフォームに繋いで月額で課金するような事ができるようになれば素晴らしい。」(荒井)

「やりたいことを実現するソフトウエアコンポーネントとして、AllJoynだけで8割9割は出来上がっているので、あとは1割2割を個社でつくる形です。ハードウエアの産業はコモディティ化されて、収益を上げづらい状況で、いかにして収益を上げていくか、これからとても大事になってきます。そういう仕組みをゼロから構築できるかというと、これはなかなか大変で、8割から9割出来ているAllJoynをいかに活用するか、という話だと思っています。」(福安氏)

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The Linux Foundation/AllSeen Alliance日本担当ディレクター 福安 徳明氏

最後に、議論のテーマは「IoTによって生まれる"生態系"について」に発展しました。

「IoTの時代にカネのにおいがするのはサービスのほうで、ハードのほうは中々大変です。IoTはなかなかROIが読めません。社内の議論でも"数いくつ出るの?" "知りません。"といった具合で中々難しい。ただしプラットフォームができてくると、より多くのメーカーにチャンス出てくるだろう、ということは言えます。クラウドファンディングで資金調達して物作りする時代ですから、インダストリー4.0もそうですけれど個人にチャンスが出てくる。そのお助けマンをしていきたいと考えています。私がよく思うのは、ひとつの巨大な一社より、残り全部のほうがすごい、ということです。ベーステクノロジーがみなさんの手に届きやすくなれば、小さな会社、個人にとっては大きなチャンスです。」(中島氏)

「一つわかりやすい例として、GoogleやAppleの例があると思います。GoogleがGoogle Play、AppleがApp Store を出して、1000万単位の数でアプリが流通するようになり、ものすごいマネタイゼーションエンジンになった。それまでは製品を流通網に乗せるのは大変だったけれど、今はApp Storeに乗せれば簡単に乗ることができる。こういった動きがIoTの世界でも起きつつあります。何でもアイデアを考えて、簡単にクラウドに繋いだ製品を作れて流通できるものとして、Kii とSoftbank、海外流通大手のBrightstar社とでつくった SPACE というエコシステムがありますが、製品にサービスを付加して流通に乗せることができます。」(荒井)

「AllJoynで初めて家電のリソースにアクセスできることの価値は、ガラケーからスマートフォンへの変化に例えられます。ガラケー、いわゆるフィーチャーフォンとスマートフォンでハードウエアはそう変わりません。違いはスマートフォンではハードウエアとAPIを経由してやりとりできるということで、それによって様々なアプリが作られました。それを家電の世界でできるのがAllJoynであり、色々な新しいビジネスができてくると考えています。」(福安氏)

会場からの、「標準化団体が乱立するのではないか」という趣旨の質問には「AllJoynでは他の方式ともつながる方式を用意している」というお答えがあり、相互接続性の高い方式であることを印象づけられました。

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