イベントレポート「インダストリー4.0 時代 流通業の経営革命」

2015/11/19

カテゴリー:イベントレポート

2015年11月17日、東洋経済新報社とクラウド型ERPソフトウエアのNetSuite株式会社様の共催で行われましたフォーラム「インダストリー4.0 時代 流通業の経営革命」におきまして弊社のCEO、荒井がパネルディスカッションに登壇させていただきました。

「オムニチャネル、IoTの実際。日本の中小企業の戦い方を考える」と題して行われたこのパネルディスカッションでは、オーマイグラス株式会社 代表取締役社長 清川 忠康氏、ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長 川野 俊充 氏、と弊社の荒井が議論させて頂き、モデレータはNetSuite株式会社の矢田部様が務められました。交わされた議論の中身をご紹介いたします。(以下、敬称略)

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まずご登壇の皆様の自己紹介をお願いいたします。アメリカ風に1分間でお願いできたらと思います。(矢田部)

メガネのビジネスをしております。インターネット通販サイトとして始めました。メガネの通販というとイメージが湧かないかもしれませんが、返品、運送料無料、5日間のお試し期間、全国500店舗でのアフターサポートなどの工夫をしております。最近渋谷に実店舗も出しました。オムニチャネルに乗るメガネ産業の進化、メガネ産業のインフラとなることを目指しています。(清川)

どうしてKiiという名前なの?とよく聞かれますが、実はkii.comというドメインが売りに出ていた、というのがその理由です。アルファベットが二つ並んでいる会社は成功している会社が多い、ということもあります。KiiはIoTソリューションを作るときにサーバエンジニアなしでできるクラウドサービスで、顧客には世界最大のLEDメーカのヤンコン社や、京セラ、KDDI、DNP、などの企業がおられます。テクノロジーだけでなく売る仕組みをご提供しており、Spaceという名前で Brightstar社と共同で、全世界の IoTエコシステムを作っています。(荒井)

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さきほど会社の紹介をしましたので簡単に申し上げますと、実は製造業以外の方とお話しするのは新鮮です。我々としてこれから接することが重要になる業界の方々とディスカッションできるのは楽しみです。(川野)

それではトピックの一つ目です。「オムニチャネルを実現せずに終わらせてはいけないわけ」これについて清川さんにお伺いいたします。(矢田部)

オムニチャネルは簡単に実現できますが、そもそもオムニチャネルをどう捉えるか、という問題があります。社内でもよく説明する機会があり、「オムニチャネル戦略」を掲げていますが現場のスタッフに言ってもなかなかわからないことが多いです。そこでシンプルに「効率化」と定義しています。ECとリアル店舗を融合させ重複部分を引き算し、CRMやオペレーションを統合していく、それを推進するマインドセットとして「オムニチャネル」を捉えています。
チャネルを統合する、ということは人も関わってきます。現場、Eコマースの開発スタッフにいたるまでの企業文化を再定義するのはなかなか難しいですが、「Eコマース、店舗関係なく、オーマイグラスの顧客体験を実現するんだ」ということです。店舗で自分の売り上げ目標があると、「その場で買っていただけないと、この売り上げEコマースにもっていかれるじゃないですか」ということになる。KPI設定にもよりますが、採用の時点でそういうマインドでは無い人を取るようにしています。(清川)

事業を始める前にすべての戦略がまず頭にあって、それから人の採用も始めた、ということでしょうか?(矢田部)

我々は創業して5年目になりますが、1、2年目にはそういう構想はありませんでした。やっているうちにオムニチャネルの可能性に気づき、催事で販売することから始めたところ、ネットだよりもリアルと組んでやったほうが、やっぱりいいサービスにできる。そこからゼロベースで考えました。
中小企業的視点で考えて、オムニチャネルができるようになってきました。我々のようなサイズの会社ほど、やったほうがいいと思います。大きくなるとやりにくくなりますから。(清川)

IoTデバイスのセールスの面倒を見ていますが、説明するのが難しいものをどうやって売っていくか、セールスとの関係はなかなか難しいものがあります。チャネルのコンフリクトやモチベーションをわかせる仕組みなど、どうしてらっしゃいますか?(荒井)

個別具体的には答えは色々あるのですが、一般的な答えはないと思います。KPI管理をしっかりとして、ネットの売り上げも店舗の成果に結びつくようなしくみ、例えば実店舗で販売すれば10ポイントだがネット販売につなげれば5ポイント、というようにしていくより他ないと思います。店舗の売り上げ目標1000万円として、それはネット販売で挙げた売り上げも含むのか、ネット売り上げを按分するのであれば目標950万といった具合にきめ細かくやっています。(清川)

私もオーマイグラスでメガネを購入しましたが、ネットで事後購入したので店舗のポイントは下がってしまったのですね。「いまネットで在庫が1点しかないのですが、いま買われますか」と言われたのですが、いくつか比較して後で購入しました。以前伺ったお話しでは、卸売業の構造を変えるような大きな構想を持たれていて、いまされていることは将来的にやりたいことの5%ぐらいだとお聞きしたのですが、そのあたりお聞かせいただけますか?(矢田部)

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ECフィルフィルメントと実店舗を融合すると負荷がかかりますが、やっているうちにこれ自体がビジネスになると気づきました。我々の仕組みを中小企業に解放したら、BtoBのビジネスになるのではと考えています。提携店500店舗の中にはうちの在庫システムを使って仕入れをしている会社もあります。個人でやられている店舗などで検眼など店舗にしかできないことに集中できます。(清川)

ものづくりの世界に話がもどるんですが、インダストリー4.0の世界が来た時に流通業はどう変わるでしょうか。(矢田部)

日本でもドイツでも世界中どこでもそうなんですが、多くの会社でビジネスとバリューチェーンが分断されています。さきほど紹介したノビリア※1さんでも、素晴らしいビジネスができるのは自ら配送し設置もすることでバリューチェーンを自社で持っているからです。だから売り切りではなく里子に出したようなもので、迅速なアフターサービスができる。本国でなくてチェーンが繋がっていないのでそのサービスが受けられない、という場合は当然ありますが、これEDIがなかなかうまくいっていないというところに帰着します。まだまだ世の中無駄が多く苦労している、そういうところで異業種でも競合でもデータをつないでいこう、それで付加価値が高まるという考え方が普遍的になると思います。さきほどのメガネの例はまさに先進的なマスカスタマイゼーションで、生産をどうしておられるのか興味があります。(川野)
※1 オーダーメイドキッチンのメーカー。1品ものの大量生産と納品後のパーツごとの所在管理を実現している。

経営の世界ではデータがつながっていることが大事になるのでしょうか?(矢田部)

顧客データベースが共通にあるのが当然、という感覚をもたなければいけないと思います。ITの世界では周辺機器がつながるのが当然ですが、そういう感覚をみんなもったほうがいい。ITでも苦労している分野はあると想いますが、いまあるシステムを接ぎ木して使うのではなく、どこかでオーバーホールするならばゼロから考えたほうがよいと思います。(川野)

それでは2つ目のトピックです。「IoTが変える次世代の作り手・売り手の仕組みとは?」これについて荒井さんにお伺いします。(矢田部)

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何でもネットにつながるから何でもできるだろう、というのがIoTではないかと考えています。例えばこのコップ(壇上のコップを指差しながら)がネットにつながったら、僕が何回水を飲んだかがわかる。シスコの試算などによれば500億ぐらいのものがつながるので、すごく大きな話です。先日テスラの車を見に行きましたが、部品の少なさに大変驚きました。バッテリー、インバータ、モータ、それにコンピュータなどです。現在の車にはカムシャフトだとか機械部品にものすごい技術が必要なんですが、それが全部吹き飛ぶというのは日本にとって危機だと思います。
いままでの製造業のビジネスにはハードウエアがあり、卸とコストと販売価格の差がビジネスになっていましたが、これからは変わる可能性があります。例えばこのデバイス(小さな装置を示しながら)京セラのウエアラブル端末ですが、使用料金は月5ドルほどで、それだけの価値があるから課金できるんです。毎月繰り返しの収入につながるわけで、これはすごい大変化です。このやり方で製造業が儲けられれば、コストの感覚が全く変わってきます。5ドル、500円を10万人からとれれば月5000万円です。Spaceの取り組みを通じて、毎月の収入を得るという考え方を広めていきたいと考えています。
デバイスメーカで月額課金の仕組みを作れたのは世界でアップルだけです。これを一からやる、というのは不可能に近く、メーカのお手伝いをするためにSpaceを作りました。さきほど申し上げたように日本の製造業は危機にあると思いますが、それを月額課金できるビジネスにできる大きなチャンスだと捉えていただきたいです。(荒井)

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製造業のサービス化、と題した資料を本日もお配りしております。そうなると流通業は中抜きになるのか、という懸念もありますが、逆にいままでつながっていなかった生産現場とつながれる、という面もあると思います。(矢田部)

実は流通業はすごくマージンが少ないんです。月額の利用料金は100%プロフィットマージンですから、うまくわけあえば流通業のマージンもかなり変わってきます。(荒井)

続いてのトピックです。「シリコンバレー流ベンチャーマインドがないと企業を成長させられないのか」これについて清川さんにお聞きします。(矢田部)

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シリコンバレーでの経験が起業に影響しましたが、実際にやっているのは大きな絵を選んだ後、ゴールから逆算して細かく刻んで達成していくことの繰り返しです。シリコンバレーだからどう、ということではなく日本でもできると思います。(清川)

荒井さんからみて、シリコンバレーと日本との違いはどのあたりにありますでしょうか?(矢田部)

シリコンバレーのことばに「フェイルファースト」という言葉があります。失敗するなら早く、というような意味ですが、1年かけて失敗するのと3日で失敗するのとでは3日で失敗したほうが良いわけです。MVP、Minimum Valuable Product を出せ、とよく言われるのですが、大きな構想があったとしても全部つくらず最低限の機能のものをつくる、そうすると早くできるし失敗が早くわかるわけです。これがシリコンバレー流の経営です。(荒井)

そうするとシステムの観点から言えば、ERPシステムもクラウドを使ったほうがいいということになりますか?(矢田部)

そうおっしゃるんじゃないか、と思いましたがその通りです。(笑)クラウドをつかうのもフェイルファーストのひとつです。失敗したらやり直せる、フェイルセーフの考え方が大事です。(荒井)

シリコンバレーは、ロケーションの影響もあると思います。私も3年シリコンバレーの近くにいたわけですが、天気がよくて、底抜けに明るい雰囲気は人の行動様式に影響を与えると思います。そういう意味で環境作りも大事だと思います。大企業でも新しいことをやる人は普段の業務からはなしてあげたほうがいい。私の知っているむこうの例では、スピンアウトしてベンチャーを作り、元の企業に買収される、ということを3回繰り返した人がいます。(川野)

シリコンバレーは、ロケーションの影響もあると思います。私も3年シリコンバレーの近くにいたわけですが、天気がよくて、底抜けに明るい雰囲気は人の行動様式に影響を与えると思います。そういう意味で環境作りも大事だと思います。大企業でも新しいことをやる人は普段の業務からはなしてあげたほうがいい。私の知っているむこうの例では、スピンアウトしてベンチャーを作り、元の企業に買収される、ということを3回繰り返した人がいます。(川野)

5年ほど前に日本の大企業にそうアドバイスして、その企業はその通りにしたのですが、それに選ばれた社員はほぼ全員その会社を辞めましたのでお気をつけください。(笑)(荒井)

その後議論は、「AIで人が要らない時代がやってくるか」といったことにも広がり、人の仕事が変わっても要らない時代はこないのではないか、といった議論が交わされ、大盛況のうちに終了いたしました。

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