Kiiコンソーシアム第5回総会が開催されました

2017/01/06

カテゴリー:イベントレポート

12月2日、第5回となるKiiコンソーシアム総会が東京、竹芝の株式会社JMAシステムズの会議室で開催されました。寒さのつのる師走の始めにもかかわらず、多くの皆様にご参加いただき、またも盛況となりました。本格的なIoTの展開にあたり、気になるキャリア側の新サービスと、話題のLPWA(Low Power, Wide Area)ネットワーク新サービスに関する講演に、参加者の皆様が身を乗り出してお聴きになる姿が印象的でした。講演に続き、グループディスカッション、Kii IoTクラウドプラットフォームの新機能などについての紹介、新規ご参加企業のプロフィール紹介が行われました。

  • 会場風景

(1)IoTに柔軟性と利便性をプラスする新サービス「KDDI IoTコネクトAir」

KDDI株式会社はソリューション事業本部にビジネスIoT推進本部を設置され、積極的なIoTサービス開発を行われています。今回は同本部内のビジネスIoT企画部の法人向けIoTサービス企画部・企画1グループリーダーの野口一宙氏から、同社で新しく提供されるIoT向け回線サービス「KDDI IoTコネクトAir」について、サービス開発の背景から概要までをお話しいただきました。

  • KDDI株式会社 野口一宙氏

■IoTへの本格的取り組みが進んでいない理由は?

KDDIのM2M/IoTへの取り組みは約15年の歴史があり、セキュリティ端末、車のテレマティックス、ホームセキュリティ、スマートメーターなどのビジネスがこれまでひたすら右肩上がりで拡大してきたとのこと。日本企業にはIoTへの期待度が高く、調査会社のガートナーのIoTへの意識調査では、IoTが「社内の変革を推進する」(59.2%)、「よりビジネスに貢献できる」(55.1%)など、成果への期待に対する回答の割合が50%を超えています。しかし一方で不安もあり、「4割近くの企業がどこから手をつけるべきかわからない」と答えています。実際、昨年IoT推進を「1年以内に実施する」と回答していた企業は16.7%ありましたが、今年の調査で「IoTの専門部署やグループができた」という企業は昨年から1.6ポイント上がっただけでした。予定通りIoT推進体制を確立できたのはわずか1/10に過ぎません。

なぜIoT活用が進まないのかについて野口氏は「これまでのM2M/IoTサービスはIT部門がガッチリ入って大きなプロジェクトとして推進されてきた。しかし今は、事業部門が、むしろ外部の力を利用して、素早く簡単にはじめたいというニーズが多いのではないか」とし、「今は4つのお客様ニーズが顕在化している」と指摘されました。

  • IoTのセンシングデータに適した料金体系が望ましい(一定期間少量のデータしか通信しないのに携帯電話に似た料金体系では困る。例えば融雪監視は夏場しか使わないのに毎月課金されてしまう)。
  • スモールスタートしたいので、少量回線からでもリーズナブルに利用したい。
  • 手軽に始めたい。申し込みなどを簡便にしたい。
  • 自社でセンサーの通信量や利用状況を確認して、柔軟・迅速にサービス停止・開始をしたい。

■「KDDI IoTコネクトAir」の特徴は? 料金は?

新サービス「KDDI IoTコネクトAir」は、これらのニーズに応えるべく提供されるということです。これはLTEでデータ通信ができるサービスで、KDDIが「SORACOM vConnect Core」(株式会社ソラコム)プラットフォームを導入し、KDDIの回線サービスとして提供されるものです。「SORACOM Air」のKDDI版と考えると良いようです。特徴は、Webから申し込みができ、SIMの管理がユーザー側で可能になることと、IoTに特化した料金体系になることです。

申し込みの際は、Webでのユーザー登録からのID発行、それを利用してのSIM申し込みを行うと、専用SIMが送られてきます。SIMを利用してサービスを利用開始すると、通信の利用中断や再開、データ量の監視、通信速度の変更などが、対面での手続き不要でWeb上で行えるようになります。

また料金体系はSIMとその送料込みで1500円、基本料金は1日あたり10円(SMS機能込み)、利用中断中は5円。通信量は従量制で、1Mバイトあたり夜間(AM2:00〜6:00)は上り下りともに0.2円、その他の時間帯は上り0.2円(32kbps)〜0.3円(2Mbps)、下り0.6円(32kbps)〜1.0円(2Mbps)と設定されました。国内SMSは受信料は無料、送信量は3円/回です。上りのみ、夜間のみの利用も可能なので、従来に比べて非常に経済的になりました。KDDIブランドのモジュールは非対応ですが、KDDIが接続認証するハードウェア(通信モジュールやタブレットなど)などで利用可能になります。

野口氏は「KDDIのネットワークの利用者には利用しやすく、端末を限定しないところと、トータルでの信頼性が他社サービスとの違い」とし、「あらゆる業種・規模の法人顧客のニーズに応えるもの」と強調し、アプリケーション/クラウドプラットフォームとの協調による幅広い利用を想定し、「気持ちのいいIoT」のための一歩であるとして講演を閉じました。

(2)低電力・大カバーエリアのIoTネットワーク「SIGFOX」サービス

続いて登壇したのは京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCSと表記)LPWAソリューション部の塩見拓哉氏です。IoTデバイス用のネットワークとして話題のLPWAには複数の方式が提案されていますが、同社が推進するのはSIGFOXです。

  • 京セラコミュニケーションシステム株式会社 塩見拓哉氏

■SIGFOXって何?

SIGFOXは2009年にフランスのSIGFOX S.A.が提供を開始し、現在までにヨーロッパ中心に900万デバイスが導入されています。SIGFOXは事業会社は1国1事業者に限る戦略をとり、LoRaWANのようなオープン化戦略よりもサポートの信頼性を重視した展開を図っており、KCCSは日本での展開を任された形になります。現在世界27カ国に事業展開されていますが、2018年までには60カ国に展開することを目指しているとのことです。

塩見氏は、SIGFOXには、LPWAの「低コストな基地局」「低消費電力」「広域のカバー」という3大特徴を、他の方式よりも優位性を持って提供できる可能性を指摘しました。他のLPWA規格との比較表を示しながら強調されたのは、「無線局免許がいらない低電力」でありながら、「伝送距離は最大30km」である点です。その特徴は、電池で数年間の駆動が可能な長寿命性、数十kmを1つの基地局でカバーできるという広域性につながり、例えば農場・牧場などの広いエリアからのデータ収集には格好のものになります。LoRaWANは最大11km、NB-IoTの場合は最大15kmまでですから、2倍以上のエリアが1つの基地局で担えます。また、基地局の工事も携帯電話基地局に比べ、1/10程度の価格で済むということです。

またすでにグローバルなSIGFOXクラウドが提供されており、KCCSがサービスエリアを国内でどんどん拡大していくということで、クイックスタートが可能であり、同サービスを海外で展開する場合でも有利になると考えられています。サービスエリアは、2017年中に東京、川崎、横浜、大阪をカバーし、ニーズに合わせて政令指定都市含む36都市を2018年中にカバーする計画であるとのこと。その後の全国人口カバー率は85%以上を目標にエリア展開する見込みです。

ただし制約もあり、電波法による規制のため通信は上りのみ、1回あたりの正味データは12バイト、1日最大140回の送信(10分に1回)になり、通信速度は100bps固定です。その代わり、混信の可能性が少なく、他の方式よりも微少な電波強度でも十分に受信できる(そのためカバーエリアが広い)のだそうです。

日本向けの対応チップはテキサスインスツルメント社とSMK社が11月に提供を発表しており、順次デバイスも増えてくるようです。KCCSではこれらのチップを搭載したデバイスからの情報を基地局で集め、SIGFOXクラウド上に集約し、APIによってユーザー環境からデータを利用できるようにします。KCCSはネットワーク構築と回線を提供しますが、直接ユーザー企業に提供するのではなく、IoTサービスプロバイダが間に入り、IoTサービスとデバイスを一元的に提供するビジネスモデルを考えているとのことで、現在IoTサービスプロバイダを探しているところだそうです。ユーザー企業は、IoTサービスプロバイダのサービスを利用することで、接続ログやデバイス開通・解約などの管理がユーザー自身の手で行えるようになります。

■SIGFOXの導入事例は?

塩見氏は続いて各国の導入事例を簡単に紹介されました。主にヨーロッパの事例ですが、様々な領域で活用されていることがわかります。

  • ヘルスケア:訪問介護の訪問時間管理、家屋内の温度センサによる家族へのアラーム連絡、転倒時のアラート通知など
  • 公共インフラ:水道の検針、設備故障の早期発見・予測、鉄道保守(レール張力、ケーブル張力、レール荷重計測、線路切替器モニタなど。また駐車場の空きスペース管理、AED状態監視ソリューションなど。
  • 物流:コンテナの位置情報管理、トラック・ワゴン・容器などの場所把握や追跡(トラッキングソリューション)
  • 農業:土壌管理、室内空気管理などの定点状態監視ソリューション、養蜂ソリューション、風車やウインドスポーツなどの風力・風向きの計測ソリューションなど
  • ホーム&ライフスタイル:音検知(洗濯機・冷蔵庫のアラート音など)、煙検知ソリューション、プールの水質管理ソリューションなど
  • B to C:顧客満足度データ収集ソリューション(顧客の押しボタンなどによる評価のフィードバック)

国内でもこのようなLPWAインフラが利用可能になると、IoT活用にさらに拍車がかかるに違いありません。

(3)グループディスカッション

2講演の後、いつものように各テーブルごとにグループディスカッションが行われました。すでに顔なじみのメンバーも多く、だんだんと自己紹介以外の実質的な議論になってきているように感じます。今回はネットワーク事業者の方々の講演だっただけに、新しいネットワークサービスへの期待や、まだ現実の適用事例が少ないところからの不安、業者選定のリスクなどについて議論されるグループが多かったようです。15分間のディスカッションの後の発表でも「メーカーにとって未来は明るい」という希望が広がる一方、「結果、何を使えば良いかまだわからない。案件によっていろいろなサービスを組み合わせて使うようになるのかと思った」などと、期待と不安の入り混ざった声が聞かれました。

グループディスカッションの模様

(4)Kiiクラウドの新機能・トピックス

続いてKiiの鈴木尚志が登壇し、Kiiプラットフォームの新しいトピックについて数点、お知らせさせていただきました。

(サービス拠点)フランクフルトにKiiクラウドの共用環境を提供する拠点がAWS上に作られました。これで東京、シンガポール、北米、中国、ヨーロッパで共用環境が、その他の地域では専用環境が提供できるようになりました。

(マルチテナントでの認証技術の強化)他システムとのユーザー連携を行うとき、Kiiクラウド内から他システムにOpenID Connect/OAuth2で認証を通すこともでき、他システムからKiiクラウド内のデータにOpenID Connectで認証を通すこともできるようになりました。またアクセス許可の部分も細かく制御できるように機能強化をしているところです。外部SNS連携や、企業内LDAP連携はすでに実現しています。

(データ管理)データ管理はBucket単位で行うのがKiiの特徴ですが、ノーマルなBucketだけでなく、Bucketごとに別々のキーで暗号化できる「Highly Secured Bucket」や、オブジェクト追加をシンプルにできる「Time Series Bucket」も用意し、合計3種類のBucketを目的に応じてご利用いただけるようになりました。

(Thing Interaction Framework)現行のData BucketやTopicレベルのAPIよりも機能が抽象化されたAPIを提供、処理の自動化がしやすくなっています。これについてはドキュメントを強化していますので、是非「https://docs.kii.com/ja/」をご参照ください。サンプルコードも用意しています。

(My Things連携)ヤフー社のMy Thingsとの連携を始めました。Kiiクラウドチャネルが提供され、KiiのサーバーコードがMy Thingsから利用できるようになりました。こちらもサンプルコード付きでドキュメントを提供していますので、こちらもご利用下さい。

(Near Real Time Export)すべてのBucketへのデータ更新状況をほぼリアルタイムでエクスポートできるようにしました。例えば分析用のDBを作りたいような場合、これまでのBucketのデータを全部エクスポートしてDB構築すると、その後の変更はほぼリアルタイムにそのDBに反映できます。不用データの削除や匿名化しながらデータ追加ができますので、様々なソリューションに使えると考えています。

(4)新規メンバーの自己紹介

恒例になりましたが、新規に加入された2社から、簡単な自己紹介がありました。

・株式会社CAMI & Co.

IoTのプロデュースからマネジメント、経営コンサル、ハードウェアの製作、IoT教育など幅広い事業を行っておられます。IoTのプロトタイプ見積りサービスなども人気を呼んでいます。

・サトーホールディング株式会社

20年ごとに主力事業を変更してきた歴史を持つメーカー。現在の主力はバーコード、2次元コード、RFIDを利用する自動認識技術で、例えばスーパーの値引きラベルなど、身近なところから百貨店の在庫管理、物流・倉庫の検品/棚卸し、製造業でのトレーサビリティ確保など様々なところで同社のソリューションを目にできます。IoTは信頼できるスモールデータの集合体としてのビッグデータの世界と考える同社は、「情報ライフラインの最後の1cmをつなぐ現場力」をソリューションとして提供され、機器メンテナンス、ウェアラブル、アパレル、倉庫、産業用ドローンなど、幅広くソリューションを展開していかれるとのことです。

以上、今回も内容の濃い総会となりました。総会後は場所を変えての忘年会となり、来年に向けての希望あふれる歓談で大いに盛り上がりました。多くの皆さまにご参加いただき、誠に有難うございました。

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